EURO2020で一躍名を馳せ、ベルギー代表の主力になりつつある、リーグ・アントップレベルのドリブラー「ジェレミー・ドク」とは何者か?
Embed from Getty Imagesフランス リーグ・アン レンヌに所属
圧倒的なドリブルを武器に
EURO2020ベルギー代表として頭角を現し
NEXTアザール、マネとも表現され
数多くのビッククラブが注目している
次世代のスター候補
「ジェレミー・ドク」
彼を紹介していきたいと思う。
プロフィール
名前 | ジェレミー・ドク |
国籍 | ベルギー・ガーナ |
生年月日 | 2002年5月27日 |
年齢 | 19歳 |
身長 | 171cm |
体重 | 68 |
ポジション | FW |
背番号 | 11 |
利き足 | 右 |
クラブ
シーズン | クラブ | 試合数 | ゴール | アシスト |
21-22 | スタッド・レンヌ | / | / | / |
20-21 | 〃 | 37 | 2 | 3 |
〃 | アンデルレヒト | 7 | 2 | 4 |
19-20 | 〃 | 27 | 8 | 3 |
18-19 | 〃 | 6 | / | 1 |
代表
年代 | 試合数 | ゴール | アシスト |
ベルギー | 10 | 2 | 3 |
〃U21 | 4 | 1 | / |
〃U17 | 16 | 6 | 4 |
〃U16 | 9 | 3 | 1 |
〃U15 | 5 | 2 | 1 |
ジェレミー・ドクとは
2002年5月27日ベルギー・アントワープ・ボルゲルハウトで生まれた。
6歳のころサッカーを始め、地元のチームオリンピックドゥールネでプレーし
1年後アントワープ内での有数のアカデミーベールスホットに所属。
ベールスホットでは、トロフィーを獲得するなどの活躍を披露。
ドクが10歳のころアンデルレヒトのスカウト陣が才能に気付き2012年夏、家族をアントワープに残し約50キロ離れているアンデルレヒトに加入。
U11~14まで、ドクはすべての攻撃的ポジションを経験して、左WGとして定着。
U14、15ではタイトル獲得に貢献、その頃から彼の持ち味である、スピードとドリブルが評価され
U15ベルギー代表に選出されるまでの地位を確立して以降常に代表の常連になり、上のカテゴリーにも呼ばれることもあり、2018年UEFAヨーロッパU17選手権やEUROU17でも活躍。
このような活躍もあり中学卒業と同時に全国レベルのプレイヤーとして成長を果たしたが、、、
ドクは、周りから「傲慢、ドリブルの王」というニックネームをつけられた。彼は、ゴールを奪うよりもドリブルにフォーカスしており、常にボールを持ちドリブルをするプレーを行っていた。
そのことについてチームメイトやユースの監督までも腹を立てた、そしてユースコーチはあるアドバイスを送る。
「ジェレミー、ビッククラブでプレーしたいなら、ドリブル以外のことをしなければならない。」
このアドバイスにより、ドクはドリブルだけではなくパスやアシストなどドリブル以外の技術の向上に努めた。
15歳のころ、アンデルレヒトで頭角を現し、代表でも活躍をした選手にヨーロッパのビッククラブ(アーセナルやチェルシー、オランダのクラブ、リヴァプール)が関心を示した中、
英『Daily Star』によればアーセナルのスカウトを務めていたジョエル・クラハイ氏もドクに接触したことがあると語っているが
特にリヴァプールは獲得を望み両親をリヴァプールに招待し、両親はスポーツプロジェクトだけではなく、経済的なところにも魅力を感じ、
ユルゲン・クロップは「サディオ・マネの後継者になれると信じている」と語りドク自身も移籍に前向きだったが、、、
アンデルレヒトは、最高の選手を手放したくはないため、クラブは下部組織の出身選手ロメロ・ルカクのビデオメッセージをドクに送った。
アンデルレヒト最強ストライカーは「あなたと同じように、私はアンデルレヒトで何年もプレーしました。アドバイスをあげるとすれば、このクラブに留まり少なくともアカデミーを卒業するまではプレーしてほしい」と語った。
このことがきっかけで残留を決め、18-19シーズン始めに当時16歳のドクとプロ契約を結んだ。
そして、2018年11月25日シントトロイデン戦で16歳と182日でデビューを果たした、その記録を上回る選手はユーリ・ティーレマンス(16歳82日)とロメロ・ルカク(16歳11日)の二人のみ。
Embed from Getty Images1年目こそ出場機会に恵まれなかったが、2年目には27試合8ゴール3アシストを記録。
2020年8月UEFAネーションズリーグに18歳ながらベルギー代表として初選出を果たした。
そして18歳FWは、プレミアリーグのアーセナルやチェルシー、長い間ターゲットとなっているリヴァプールなどが獲得に関心を示したが、
移籍金2600万ユーロ(32億円)でフランス・リーグアン、スタッド・レンヌにアンデルレヒト史上最高額で移籍を果たした。
アンデルレヒトは公式サイトで「ジェレミー・ドクは、フランス・リーグアンのスタッド・レンヌへ移籍しました。18歳のウイングと両クラブはちょうど合意に達しました。アンデルレヒトはジェレミーの新しいステップを受け入れ、今後のキャリアの成功を祈っています」と発表。
ドクは「クラブとこれまで与えてくれたチャンス、長年一緒に働いてきた人たちに心から感謝します。アンデルレヒトは永遠に僕の家です。しかし、僕はこれからの厳しい競争とチャンピオンズリーグで自分の力を証明するのが待ち遠しいです。一生懸命にプレーします」と語った。
レンヌに移籍したベルギーFWは、37試合に出場して2ゴール3アシストを記録
『Goal』主催の年間No.1若手選手を表彰する『NxGn』の2021年版では、14位にランクインしたドク。(日本では中井卓大が選出)
イタリア『トゥットスポルト』が主催するゴールデンボーイ賞(2001年1月1日以降生まれの欧州でプレーする21歳以下の選手)にノミネート。
フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』が主催するコパ・トロフィー受賞候補(21歳以下の選手を対象とした若手版のバロンドール)にノミネートされた。
Embed from Getty Imagesドクは自身について「ドリブルをするときはいつだって、敵をはがすことができるという自信がある。スタッツを見たけど、僕はリーグ・アンでベストのドリブラーだ。ネイマールや(キリアン)ムバッペのいるリーグで悪くはないだろう?僕は小さい頃、ドリブルをし過ぎだと言われてきた。みんながドリブルを止めるように言ってきたけど、僕はやり続けた」
リーグ・アンについては「ハイレベルなスター選手がここにはいて、選手はベルギーよりも強くて速い。ネイマールやムバッペをベルギーリーグで目にはできないよ。」と語る
得点力についても「ベルギーの人たちは、僕がこれまでもあまり得点できなかったことをよく知っているはずだ。僕はズラタン・イブラヒモヴィッチじゃないからね。ゴール数だけを見れば批判が集まることを理解している。でも、全試合を見る人なら僕が良いプレーを見せていることを知っているはずだ。そうでなければほとんどの試合でスタートからプレーできないだろう?」と語った。
2021年にはEURO2020に選出され2試合出場を果たし1アシストを記録。
Embed from Getty Imagesムバッペ
「最近、僕がプレーしていない時にスタンドから見たなかで驚かされた選手について父と話したんだ。
スピードのクオリティでは、レンヌのジェレミ・ドクだね。
プロとして過ごした5年間で直立姿勢からあんなパワーを見せつける選手は見たことがない。」
デブライネ
「彼は機敏で速く、ドリブルの仕方を知っている。時々間違いを起こすが、ミスは誰でもあるものだ」と語った。
プレースタイル
ドクの一番の特徴は、ドリブル。
本人も「ドリブルをするときはいつだって、敵をはがすことができるという自信がある。」と語っているようにドリブラーとして世界トップレベルのスキルを擁している。
悪魔のドリブラー
ジェレミー・ドクは、171cmと小さな体格を最大限に活用して、ドリブル+スピードで相手を置き去りにすることに長けており、最高速度は35㎞/hとサラーやオーバメヤンに匹敵するくらいのスプリント力を持っている。
またドリブルに関して、1試合で7回以上のドリブル成功率を4回記録し、ネイマールやベンアルファ、ムバッペなどを抑え、リーグアントップのドリブル回数と勝率を残した。

ドリブル回数においても244回でリーグアンで2位の成績を残し、1位にはムバッペ、3位にはネイマールとドリブラーとしての地位を確立している。
課題
ドクは、平均5.77のドリブルを90分あたり行い、約64%成功している。この記録はヨーロッパの20歳未満の選手の中ではサンチョに次ぐ2番目に優れたドリブルパフォーマンスを披露している。

引用元 soccerment
しかしドクはサンチョとは異なり、ドリブルスキルに比例してチャンスメイクを作り出せてはいない
もちろんチームとしてドルトムントとスタッド・レンヌを比較することは、チーム、クラブレベルは違うがチャンスメイクに躊躇な差が見られる。
ドリブル成功率は、サンチョに勝り3.90と高い数字を残しているがそれ以外の部分アシストやゴールという数字の面では結果をだせていない。
※参考までにアタランタのイリチッチを記載
プレーヤー | ドリブル成功率 | チャンスメイク90分 | xA 90分 | シュート90分 | xG 90分 |
---|---|---|---|---|---|
ドク | 3.90 | 1.40 | 0.06 | 1.52 | 0.08 |
イリチッチ | 4.52 | 3.98 | 0.53 | 3.25 | 0.18 |
サンチョ | 3.28 | 2.37 | 0.33 | 2.37 | 0.27 |
出典:Soccerment Analytics、Opta |
リーグ統計2020/21

参考までにアンデルレヒト時代のxAは0.18、フランス時代の時より0.1も高い成績を残せていたが、やはり5大リーグにもなるとレベルが上がり数字上の記録も下がってしまったことがわかる。

ドクは、チャンスを生み出せないだけではなく、シュートを放つ意味でも攻撃的な選手の割には少なく1本近くも差があることもあり、
ヒートマップ上でも中央に切り込むことは少なく、サイドを縦に突破してクロスやポケットまでの侵入のみでペナルティーエリアの外でのプレーが多い。
こうした数字で表れるようなゴールやアシストでの改善が見られればビッククラブでのプレーも容易に叶うことだろう。
総括
次世代のドリブラー「ジェレミー・ドク」
19歳ながらベルギー代表として定着しつつある選手でもあり
ベルギー国内ではNEXTアザール、クロップにはNEXTマネと評価され
今後の成長が楽しみな選手でもあり
どのようなステップアップ歩むのか
皆さんも注目して観ていただきたい。
Embed from Getty Images